ワリトイロイロ

DIY、絵、洋裁などなど ワリトイロイロやってる日々

【感想】:「累(かさね)」★★★★☆

映画にもなった「累(かさね)」、ついに最終巻が発売されましたね  

累(14) (イブニングコミックス)
 

書店に足を運ぶたび、表紙が気になって気になって、

帯の印象から「ちょっとホラーな日常物っぽい」と思っておりましたが

随分色気のある表紙だったため あハーンな内容だったらどうしようと

なかなか手を出さない日々を送ること、数か月。

10巻超えたあたりで「もうあかん!」と、まとめ買いして読みました。

あハーンではありませんでした。

まさかの演劇ものだとは Σ(・ω・)

 

【あらすじ】ありそうでなかった変身もの

お話は、ふた目と見られない醜い容姿の女の子・累(かさね)の

小学生時代から始まります。

ああ~例にもれずいじめられちゃってる・・・

「子供は残酷なもの」とはいえ、

随分と心無い言葉を吐くクソガキどもですこと(;´Д`)

いじめの筆頭は、中でもとてもかわいい女の子。

本当につらい日々の中、累が思い出したのは

美しい女優であった亡き母の言葉と、ある口紅の存在。

それは他人の顔を奪う口紅で…

 

演劇の才を持っていた累は美しい顔を他人から奪い、

芸の世界に身を投じていきます。

 

いわゆる「変身もの」のお話ですね。

でも主人公、それも女の子が醜悪に描かれるというのは

ありそうでなかったような気がします。それも設定が生ぬるくない。

 

【絵と物語に共通する印象は?】

表紙の絵柄は厚塗りで描かれ、

顔のアップを中心としたインパクトのあるもの。

色気と深みのある色使いにより、思わず目を引き足を止めたのは私です。

表紙に描かれた人物の目力がすばらしい。買えと言っている(笑)

1巻の表紙は特に秀逸でお気に入りです。

累(1) (イブニングコミックス)

うーん、この絵がやっぱり一番好き!

作品は繊細な絵なのかと思いきや、力強い筆致で白黒がはっきりした絵柄。

良く言えば勢いがあり、悪く言えば雑ともいえるその絵は、

個人的には手放しで「好み」とは言い難いものでした。

 

が、ですよ!

お話のきっかけになるアイテムがファンタジーなのに

サスペンス並みにぐいぐい読み手をひっぱりこんできます。

先の読めない物語に、もうすっかり虜。

ここまで引き込まれるのは、物語の構成はもちろん、

登場人物の感情が紙面に「これでもか」とぶつけられたかのような絵にこそ

あるように思いました。

 

それ以来、単行本の発売を今か今かと待っては、

読み返す日々を送っていたので

完結した今からはじめてお読みになる方がちょっと羨ましい。

 

これに近い雰囲気のマンガを今思い当たらないのですが、

私の好きな映画で2つほど、該当するものがありますね。

ブラックスワン」と「リプリー」です。

 ブラック・スワン [Blu-ray]   リプリー [Blu-ray]

 

こちらがお好きな方は、おそらく「累」は好みかも?

 

【主人公に肩入れして、もはや気持ちは親になる】

 『「うわっ・・・」と思ってしまう』『ふためとみられない』

作中でそのように表現される累の醜い容姿ですが…

 

物語が進むにつれて、「素のままの累でもかわいいのでは」

と思わせるシーンがいくつかあります。

かわいいというか、魅力的というか。

 

特に目は白目が多く瞳は小さいので、

きつい印象で描かれていますが、

その目こそが魅力的に見えるシーンがあるのです。

作中で、累の鼻が描かれるシーンが見当たらないことから、

それが露出していたらそうは思わないのかもしれないけど。

 

「自分に決定的に不足していたがために望めなかったこと」を

変身を重ねるたび、現実にその手に掴みキラキラと謳歌する反面、

いつも追われるように過ごし、安らぐ間もなければ

奪った顏の相手に対して苦悩する累を見ていると

 

「とびぬけた美形にはなれなくても、整形という手段はないのか」

「そのままの顔で演劇をする道はないのか」

と、累の幸せを願わずにはいられなくなる(ノД`)・゜・。

 

俳優生命のために、

非道ともいえる手段に出ることもありますがその時ですら

どうか成功してくれええええ」と累に肩入れしてしまう。

映画「リプリー」でも、

その主役を見ているときもこんな気持ちになりました。

 

不遇であったものが手に入れた、かすかな希望から起こした行動。

報われてほしい、手に入れたいものを少しでも多く手に入れてほしい、

どうなってしまうんだろう、と願いながら、

読み手は見守ることになります。

 

【個人的にはあと1冊分続いてほしかった】

 完結したわけですが、個人的にはあと1冊あっても良かったのではと思いました。

最終巻の要所要所で、少し駆け足に感じてしまったのです。

おそらく大ゴマが少なかったからそう感じただけかも?

むしろ完成度が高い作品。

ただ単に個人的なわがままな希望として、

「演劇」にもう少しページがあったら、なんて望んでしまいました。

 

実はこれまで作中で演じられた劇すべて、

欲を言えば全部観客の視点で見てみたいなあー、なんて常々思ってたんですが、

最終巻のあの劇だけは、1冊まるまる使ってでも観たかったなあ、と。

物語の本質は演劇ではないから、読者の勝手なたわごとではありますが

累ちゃんの集大成ともいえるその劇を、

観客となって観てみたかったなあ。

  

【さいごに】

最後の最後まで予想ができないで読了!

読み終わった後に抱く感想は、

おそらく人によってだいぶ違うだろうなあ、というお話です。

最後のページを目にとらえたとき、

私は2つの「その後」が思い浮かびましたが皆さんはどうでしょうか。

(追記:再読したら1つだけになりました(*^-^*))

 

「〇〇さえ持っていたら最高、完璧になれるのに」

 そんな願望を持つことって、誰しもあると思うのですが

その中でも一番抱かれる望みこそ、

「美しくあれたら」のように思います。

 

それを叶えられる魔法を手に入れた者の人生を、

それぞれが苦悩を抱く登場人物たちの様々な思いとともに

垣間見ることができます。

 

個人的なオススメ度は…★★★★☆(5段階)ですかね

静かな夜に、いかがでしょうか(*^-^*)

 

 

楽しんでいただけたら幸いです

読んでくださり、ありがとうございます(*^-^*)